可愛いなんて大嫌い。
「落ちたぞ」

「あっ。ありがとう」

「…………」

「……何? オレの顔なんか付いてる?」

 葵はその隣の少年の顔を凝視していた。

(こいつは……っ)

「お前は男ですかっ?」

「…………え?」

 初対面の少年に失礼極まりない発言をかました葵。

 しかし葵の言いたいことも幾分わかってしまう。

 少年は小柄で、肌は透き通るように白く、瞳はクリクリと大きい。

 つまり黙っていれば女の子で通ってしまいそうなくらい可愛らしいのだ。

(あの男はこんな男が好きなのか……っ!!)



 話をさかのぼること1年半前。葵が中学2年生の頃である。

 その頃は今よりまだ素直で恋もしている可愛い少女だった。

 だが、人生初の告白は全く笑えない、思い出すのも腹立たしい思い出となっている。

「オレ、女に興味ないから。オレは可愛い男が好きなんだーっ!!」

「……なんだそれ? お前葵をナメるのも大概にしろよ!」

 ここで一発頭突きをくらわせた。

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