可愛いなんて大嫌い。
(くそっ、なんだこいつ!! やっぱり嫌いだ!)

 求めていた反応と違うため面白くなくなり、ますます嫌いになっていった。

(こういう子は適当に流すのが1番だなぁ。こんな子初めてだ。黙ってれば可愛いのに、もったいないなぁ)

 こんなに扱いづらく、面倒くさい奴なんてそうそう出会わないだろう。

 どこで道を間違えたんだか。



 休み時間になり、教室はざわめきだした。

 葵がトイレから戻って来ると、自分の席が見えなくなっている。

 何故なら少年の席の周りにはたくさんの女子生徒で群がっており、葵の席まで害が及んでいるからだ。

「まさかあの男っ、モテているのか!?」

 可愛い系の男の子は珍しいため、女子は興味津々なのだ。

(憎たらしい奴めっ!!)

「矢神くんて入試でトップだったって本当!?」

(なんだとっ!?)

 葵は自信満々でトップを確信していたのに、結果を聞くと2位で屈辱を味わった。

 気になる情報のため耳をすませる。

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