可愛いなんて大嫌い。
「あー、うん一応」

「今度勉強教えてね」

「わたしも数学教えてほしいわ」

「また今度ね」

「約束よ」

 今どきの女子はパワフルである。猛アタックの末、約束にまでこぎつけた。

(くそっ、あいつがトップなんて何かの間違いではないのか!?)

 主席の上に女にモテる。しかもあの可愛らしい顔。

 完全に妬みも入っている。

(そうだ!! 次のテストで葵が1番になればいいじゃないか! なんて素晴らしいアイディアだ!)

 誰でも思いつくような事を自信満々に言える葵は、ネジがどこか外れているに違いない。

 今まで教室の隅で目立たないように話を聞いていたが、宣戦布告のため自分の席に戻った。

「おいっ、そこのお前!」

「何? オレのこと?」

「お前以外に誰がいる」

「ちょっと! せっかく矢神くんと話してるのに割り込んでこないでよ!」

 葵の無神経な行動は、そこにいる女子達の怒りを買った。

「ちょっと黙ってくれクルクルパーマ」

「なんですってー!!」

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