可愛いなんて大嫌い。
 残された女子達は復讐を誓っていた。



 2限目は地理。最初の授業ということでDVD鑑賞になった。

 地理の授業に観るDVDなど全く面白くないもので、ほとんどの生徒は寝ていたり、ウトウトしている。

 葵も例外ではなく、肘をついてつまらなそうに足をぶらぶらさせていた。

「ねえ、神田さん」

 隣の方から葵を呼ぶ声が聞こえてくる。

「なんだ? 葵はお前の相手をしているほど暇じゃないのだ」

 声の正体は隣の少年であり、葵は嫌そうにあしらった。

「さっきのことだけど、あれってやめること出来ないの?」

「なんだお前っ!? ふざけるな! 負けるのが怖いのか!!」

「いや、そうじゃなくて……」

 正直、ただ面倒くさいだけである。

「男なら売られた喧嘩はちゃんと買え!」

「じゃあオレが負けたときは膝まづくけど、神田さんが負けたらどうするの?」

(しまった!! 何も考えてなかった!)

 葵の頭には自分が勝つことしかなかったのだ。

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