キミヲアイシテル。
1自分の価値


私は物事をうまく操れないタイプだと思う。


すぐに夢中になってしまう。


周りが見えなくなるのだ。







私はリナ。
市内の中学に通っている。

この春から中学3年生。


学校では合唱部に入っている。



4月の新学期から一週間、ようやくクラスの顔ぶれも覚え初めた。

仲のいい同級生とはほとんどクラスがバラバラになってしまった。


一緒に昼休みを過ごす相手もいなく、不自由をしていた私に初めて声をかけてくれたのが美佳だった。


「吉永さん、1人なの?よかったらウチらと一緒にお昼食べない?」


「えっ、いいの?」

「全然いいよ~。私も吉永さんと話したいって思ってたし」

美佳はクラスの中でも目立つ存在の子ではなかったが、スポーツが得意なハキハキした女の子だった。

美佳が属していたグループはクラスの中では比較的平均的な子達が集まっているグループだった。


「美佳、早くお昼食べようよ」

「うん。ねえ、吉永さんも今日からお昼一緒にしてもいいかな?」

美佳はさり気なくグループのメンバーに私を紹介してくれた。

「いいよ~、吉永さんも早くおいでよ」
「机一個あけておくからね」


そう声をかけてくれたのは増田由香、普段は由香と呼ばれるおっとりした感じの子。
もう1人は木幡今日子というショートカットがよく似合っている快活そうな子だった。

とりあえずみんな当たり障りのないような感じの子達で良かったって思った。

実は中2の時の1年間は少し苦痛だったから。
< 1 / 9 >

この作品をシェア

pagetop