キミヲアイシテル。
2
「ただいま……」
私は誰もいない筈の家のドアを開けて声をかける。
薄暗く、どこか陰気暗い部屋………。
家は学校から歩いて20分くらいの小さなマンション。
でも周りは田んぼだらけ。
学区から一番遠い地区に住んでいる。
この辺りは元々小さな山や田んぼばかりの地区だった。
最寄り駅までは自転車で20分、バスだと10分位だ。
何もなかった駅前は何年か前にショッピングセンターが出来てから賑やかになった。
そのせいなのか、この辺りにもポツポツと新しいマンションが建つようになってきていた。
そのまま部屋に入り、台所のテーブルを見ると今日の夕飯がラップをかけてポツンと置かれていた。
私の家族は父、母、そして姉の4人家族。
父はしょっちゅう出張で忙しく、昔からあまり家にはいなかった。
母親は自分の親、つまりは私のおばあちゃんの所に時間があるといつも出かけていた。
姉は自分より4歳年上。
キャバクラで働いている。
毎日、午後に起きてきていつも綺麗な格好をして駅までは原チャリで出かけていく。
帰りはいつも深夜遅くだ。
生活も正反対だしあまり話さない。
ギャルとは違うけど、お姉系でスタイル抜群だ。
そんな姉を私はどこか別の世界の人としてしか見る事ができなかった。
ただ、何となく私1人だけがポツンと残された感じ。
確かにご飯も食べさせてくれるし、おこずかいだってクラスの子達よりは少し多い。
誰と付き合おうがうるさく言われないし。
でも、なんか寂しい感じ。