金魚すくい
「ぼっーとしすぎ。」
私が貰いに行こうとするより先に、赤の和金が三匹入った袋は晃の手に渡った。
「行くぞ。」
そう言ったかと思えばスタスタと前を歩き出す。
「待ってよ!!」
浴衣に下駄の格好は走りにくい。
ホントに何でこんな服を着てきたんだか。
私と晃が離れると周りを歩く女子達の視線が晃に集まる。
クラスの女子なんかは黄色い声をあげながら名前を呼んでいた。
…晃はずるい。
勉強も運動も出来て顔もいい。
わざわざ私みたいな鈍くさい女と来なくても、晃なら他の美人な人でも誘えるのに。