金魚すくい

「ぼっーとしすぎ。」

私が貰いに行こうとするより先に、赤の和金が三匹入った袋は晃の手に渡った。

「行くぞ。」

そう言ったかと思えばスタスタと前を歩き出す。

「待ってよ!!」

浴衣に下駄の格好は走りにくい。

ホントに何でこんな服を着てきたんだか。


私と晃が離れると周りを歩く女子達の視線が晃に集まる。

クラスの女子なんかは黄色い声をあげながら名前を呼んでいた。


…晃はずるい。

勉強も運動も出来て顔もいい。


わざわざ私みたいな鈍くさい女と来なくても、晃なら他の美人な人でも誘えるのに。
< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop