金魚すくい
「人混みから出るぞ。」
「へ?」
いつも間にか晃が隣に来ていた。
その言葉を理解するより先に晃は私の手を引いた。
「速いよ!!」
「我慢しろ。」
後ろからクラスの女子の悲鳴が聞こえた。
夏休み明けに変な噂が流れたらどうする気なんだろう。
ようやく人混みから脱出した。
「‥疲れた。」
前を歩く彼はこれだからクラスの女子とは会いたくないとか呟いている。
私はその背中を無言で睨みつけていた。
「ん?何だよ?」
晃は振り返って私に問う。
「‥…夏休み明けになんか言われたら晃のせいだからね。」
私はさっき思っていたことをそのままぶつけてみた。