金魚すくい


「別にいいだろ。」


「なっ!?」

何その言い方。

「噂なんていちいち気にしてられないね。ちょっと話すだけでも付き合ってるとか勘違いする方が悪い。」

晃は左手の袋の中を泳ぐ金魚を見つめた。

「晃にとったらいつもの事かも知れないけど、私はそういうふうは考えられないの!!」

「‥何で?」


‥何でって。

私が怒鳴ってもこの返事だ。

「私は晃とは違うの。運動もできないし、頭も良くないし、とびきり可愛いわけじゃない。吊り合わないないもん。」

私は晃を見ないようにしてそっぽを向いた。


「‥いや、別に俺も完璧な人間じゃないけど。」

「え?」

晃が予想外の言葉を吐いた。

「でも何でも出来るじゃん。」

「まぁそれはそうだけど。」

‥そこは否定しないんだ。
< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop