君色

「え」

声が漏れた

何が「え」だ白々しい

とっくにわかってた

美崎が了祐好きなことくらい

でも渡したくない

了祐はあたしのだ

勝手で自己中なあたしは譲るなんて絶対イヤで

諒子みたいなことは絶対にしなかった

だってそんなの

負ける気がしなかった

美崎が小さな声で言ったのと沈黙が重なって

麻衣がなかったことのようにしゃべりだした

あんまり仲のいい2人とはいえなかったし

ちょうどよかった

それに中学に入っても仲良しでいたかった

クラスが離れてつるむことは難しくなっても

口も利かなくなったらイヤだなって思った

この卒業間じかに喧嘩なんてしたくない



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