%コード・イエロー%
「きゃっ!」
背中が壁に当たって、私は思わず悲鳴を上げる。
ふっと、目の前が暗くなった気がして顔を上げると、
後ろの壁に私の体を挟むようにして、仲地の両腕が、置かれていて。
・・どうしよう。
逃げ場が、ない。
片方の腕を壁に押し当てたまま、もう一方の手が、私の顔に迫ってくる。
仲地の指が、私の顎をひっかけて、上向かせた。
親指で、何度も繰り返し、私の唇をなぞる。
・・悲鳴を上げる?
なんとか冷静に、この場をのがれる手段を考えてみるが、
どうにもうまい方法が思いつかない。
悲鳴を上げたところで、ここには誰もいないし、
万一誰かいたところで、私が誘った、なんて言われたら私はくびだ。
それだけは、どうしても避けたかった。
生活のためなら、他にもっと良い条件で働ける場所なんていくらでもある。
けれど、私は、どうしてもココで働かなくてはならないんだもの。