%コード・イエロー%

「コード・・・イエロー?」


館内の一斉放送に、仲地が怪訝そうな顔をする。

無理もない。


医者が使用するのは、コード・ブルー。

患者の急変時に、応援要請するときに使用する言葉だ。

医者は、コード・イエローの意味なんて、把握していないだろう。


しかも、コード・イエローが使用されるのは、年に1度あるかないかってところだ。

中には、今日初めてそれを聞く人間もいるだろう。

私だって、勤め始めてから聞いたのは、これで5回目だ。



天の助け!!



私は、両腕で、仲地の胸をぐいと押しやった。


「先生。

コード・イエローは、事務員の緊急集合を要請するものです。


さっきの放送は、Q外受付に集合しろって意味なんです。

多分、Q外で何かあったんです。

すぐにいかないと」


私の言葉に、仲地は意外にもすぐに反応を見せた。

大またでカルテ庫の出口へ向かうと、私の前を急ぎ足で歩く。





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