%コード・イエロー%

永井君が、胸倉を掴まれている。

落ち着いてください、などと言って、必死にその患者さんをなだめようとしているけど、たぶん無駄だろう。


瞬間的に、そう状況判断をした私は、暴れている男に近づこうとして、

片腕で仲地にさえぎられた。


「どいて下さい!」


「近づくな。怪我する」


「でもっ!」


いつもなら、放送を聴くまでもなく、警備員さんがきてくれるんだけど、

多分見回りでもしてるんだろう。


玄関の脇にある警備員室には、だれもいない。


Q外の受付をしているほかのメンバーも、彼らの周りを取り囲んでいるだけで、

おろおろしている。



助けないと、永井君が、怪我しちゃうよ!



そう思ったとき、仲地がすっと、彼らの間に割って入った。


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