%コード・イエロー%
私は、はっとして、受付の中においてある自分の鞄をあさった。
鞄は、引き出しに入れてある。
ロッカーは、泥棒が出るので、貴重品を置いておけないのだ。
その中から、ビニールに入った袋を取り出すと、
二人の後を追う。
点滴をつけたままの前田さんに追いつくのは、簡単だった。
ビニールの袋を差し出す。
「あ、あの!
これ、もし良かったら。
私もこの間まで入院していて、夜うるさくて眠れなかったんです。
だから」
それは、私が入院中に買った耳栓。
自分の家にいたって、いろんな物音が聞こえてくるのが普通だ。
けど、入院中は気が高ぶってるせいか、他人と寝食をともにしているせいか、
とにかくちょっとした物音が酷く耳障りで、睡眠を妨げる。
それは、私も例外ではなく、看護師さんに頼んで、耳栓を買ってもらったのだった。