%コード・イエロー%

私は、はっとして、受付の中においてある自分の鞄をあさった。

鞄は、引き出しに入れてある。

ロッカーは、泥棒が出るので、貴重品を置いておけないのだ。


その中から、ビニールに入った袋を取り出すと、

二人の後を追う。


点滴をつけたままの前田さんに追いつくのは、簡単だった。

ビニールの袋を差し出す。


「あ、あの!

これ、もし良かったら。


私もこの間まで入院していて、夜うるさくて眠れなかったんです。

だから」


それは、私が入院中に買った耳栓。

自分の家にいたって、いろんな物音が聞こえてくるのが普通だ。


けど、入院中は気が高ぶってるせいか、他人と寝食をともにしているせいか、

とにかくちょっとした物音が酷く耳障りで、睡眠を妨げる。


それは、私も例外ではなく、看護師さんに頼んで、耳栓を買ってもらったのだった。


< 117 / 481 >

この作品をシェア

pagetop