%コード・イエロー%

普段、私も里佳子も職員食堂は利用しない。

職員の倍も代金を払わなきゃいけないんだと思うと、

気持ちがなえて、利用する気になんてなれないから。


「ごめんね、つき合わせちゃって」


私が両手を合わせて里佳子を拝むと、じゃ、スタバの抹茶ラテで許してやるか、

と里佳子が笑った。


「あれ?珍しいね」


列に並んでいると、次々に知り合いの先生や、看護師さんが声をかけてくる。


「お弁当、作り忘れちゃったんです」


私が言うと、え~、毎日作ってるなんてすごいね、と感心された。

私、絶対無理ぃ~!食堂で食べればいいじゃん!と、

あまり好きでない看護師さんに言われて、なんとなくむっとした。


ちらっと笑う、その表情は、言葉通りではない意味が込められている。


“節約のために弁当を作るなんてばかばかしい”

“職員じゃないから、食堂で払うお金が高いんだよね”


たんなるひがみに聞こえるのはわかっているから、誰にも言わない。

でも、里佳子が、私の心の声を代弁してくれた。


「何よ、あれ。感じ悪っ!」


ちょっとだけ、すっとする。









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