%コード・イエロー%

壁にかかったなんの変哲もないアナログ時計が、180度に開いて、6時を示した。


「やった~!!今日は早く終わったね!」


受付のメンバーが全員いる頃に診療が終わるなんて、めったにないことだ。

病院はカレンダー通りに休みになるので、一昨日に一日休みがあり、

昨日と今日は、谷間で出勤しているのだが。


明日からGWが始まるから、というより、もう始まっている人が多いのだろう。

休診にしているDr.もいるせいか、予約の患者さんも極端に少なかった。


「里佳子。夕飯食べていかない?

こないだ行けなかったから、お詫びにおごるよ」


本当なら私と別の子が遅番だったから、一緒に帰るはずはなかったんだけど、

偶然にも同じ時刻にあがれるとあって、私の心が弾んだ。


しかし、里佳子は、片目を瞑って、手を合わせた。


「ごめん、今日はちょっと・・・」


「あ、そっか、ごめん!」


明日からの休みに、里佳子は彼氏と旅行に行くと言っていた。

多分、今から泊まりに行くんだろう。


気が利かない自分に腹がたった。


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