%コード・イエロー%
しまった、と思ったけど手遅れだ。
「友達の家に遊びに来てて・・・」
知り合いに会うなんて考えもしなかった私は、しどろもどろに答えた。
相変わらず、脳みそがつるつるの私。
いかにも嘘っぽい言い訳しか出てこない。
やさしい永井君は、その友達はどこにいるんだ、と突っ込んだりはしなかったけど。
「1週間も連続で当直なんて、永井君は人がいいから頼まれちゃったんでしょ」
いくら連休だからって、連続で当直なんてありえない。
永井君のことだから、きっと頼まれたら断れなかったに違いない。
「いや、そうじゃなくて、自分からやりますって手を上げたんだ」
「自分から?」
「うん。ま、ちょっとお金がほしくてさ。
そういえば、藤崎さんは、4日に入ってたよね。
俺、藤崎さんと入るの楽しみだな。
ひとつ、よろしくお願いします!」
鼻の上にかかる眼鏡を指で軽く持ち上げると、永井君はにこりと笑った。
疲れてるはずなのに、そんなそぶりも見せず、さわやかに笑う笑顔が素敵だ。
ほんと、世の中が永井君みたいな人ばかりだと、
きっともっと優しい世界になれるのに。