%コード・イエロー%

しまった、と思ったけど手遅れだ。


「友達の家に遊びに来てて・・・」


知り合いに会うなんて考えもしなかった私は、しどろもどろに答えた。

相変わらず、脳みそがつるつるの私。

いかにも嘘っぽい言い訳しか出てこない。

やさしい永井君は、その友達はどこにいるんだ、と突っ込んだりはしなかったけど。


「1週間も連続で当直なんて、永井君は人がいいから頼まれちゃったんでしょ」


いくら連休だからって、連続で当直なんてありえない。

永井君のことだから、きっと頼まれたら断れなかったに違いない。


「いや、そうじゃなくて、自分からやりますって手を上げたんだ」


「自分から?」


「うん。ま、ちょっとお金がほしくてさ。

そういえば、藤崎さんは、4日に入ってたよね。

俺、藤崎さんと入るの楽しみだな。

ひとつ、よろしくお願いします!」


鼻の上にかかる眼鏡を指で軽く持ち上げると、永井君はにこりと笑った。

疲れてるはずなのに、そんなそぶりも見せず、さわやかに笑う笑顔が素敵だ。

ほんと、世の中が永井君みたいな人ばかりだと、

きっともっと優しい世界になれるのに。


< 202 / 481 >

この作品をシェア

pagetop