%コード・イエロー%
「夏夜」
急に名前を呼ばれて、私の心臓が大きな返事をした。
ドクン。
「昼前には出かけるから、準備しとけよ」
「は?」
「買い物に行くっつったろ。寝ぼけるなよ」
亮雅は、コーヒーをごくりと飲む。
その喉仏の動きに見とれたりして、
私、ちょっとおかしい。
「買い物って、何を」
「お前の日用品だよ。不動産屋には弁護士を通して連絡を入れることにしてある。
けど、引越しするにも、今日って訳にはいかないだろ?
とりあえず、必要なものを調達しないと」
なんだか、見過ごせないキーワードが入っていたような気がする。
「あの、引越しって」
「もちろん、ここに住むんだ。
まさか、追い出されるような部屋にもう一度住みたいのか?」