%コード・イエロー%
救急車のサイレンが、けたたましく鳴り響き、周りの車が道を譲っていく。
それを横目で見ながら、私はお疲れ様です、と警備員に声をかけた。
いつもの見慣れたおじさんじゃなく、若い男だ。
多分、研修中のアルバイトでも入っているのだろう。
太陽は一日の役目を終え、そろそろ眠りにつく時間だ。
これからの時間は、この病院自体が擬似太陽になる。
決して沈むことのない、人工の太陽。
これでもかと照らされる明かりのもとで、医師や看護師たちが、
腕組みをして列を作っている。
救急車の搬送口で救急隊員を待ち受ける人間は、いつも2、3人だ。
最近は、擦り傷や、歯痛で救急車を呼ぶなんて非常識な人間もいるから、
車を降りて一人ですたすたと待合に来る、なんてこともあり。
だから、医師たちも、やたらめったら入り口に来ないんだけど。
・・こりゃ、相当ひどいのがきたな。
並ぶ顔ぶれと、人数を見て、重傷者が来るんだろうと察する。
案の定、入ってきた救急車からおろされたのは、
バイク事故で、目を背けたくなるほどのひどい怪我を負った少年だった。