%コード・イエロー%

あれ?という永井君の声に視線をやると、私と同じくらいの女性が、ちょうど会計をしているところだった。


「どうかした?」


「うん。あの人、救急車できたんだよ。帰して大丈夫なのかな?」


首をひねる永井君の謎は、すぐに解けた。

カルテを持って怒り顔の看護師さんが、受付に来たからだ。


「はい、カルテ。あら、夏夜ちゃん。当直なのね。よろしく」


それは、里佳子のお母さんだった。

この道30年の、ベテランナース。


「あの人、大丈夫なんですか?」


永井君の言葉に、里佳子のお母さんは低い声で囁いた。


「生理痛で痛み止めを処方してくれとさ。

ふざけるのもたいがいにしろって感じでしょ?」


私と永井君は、顔を見合わせた。

聞き間違いか?



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