%コード・イエロー%
朝が近づいて、Q外の患者さんも大分落ち着いた。
この時刻になると、外来の開始が近くなるので、わざわざQ外に来る人がいなくなる。
受付のメンバーも、緊張から開放されて、みんな柔らかい表情をしていた。
その時。
「いいかげんにしろ!
ぎゃうわあああ~!!」
獣がほえる様な表現できない声が、診察室の方から聞こえてきて、私と永井君は顔を見合わせた。
一瞬遅れて、ガシャン!という、何かが割れる音。
キャーと言う悲鳴と、落ち着いてください!という、看護師さんの声。
ただならぬ気配に、受付の温度が一気に氷点下に下がる。
「ちょっと見てくる」
「待って。私も行く」
永井君の後に続いて、私も診察室の裏口へ急ぐ。
受付に残った別のメンバーに、戻らなかったら、すぐにコード・イエローをかけてもらうよう伝えた。
夜勤担当の警備員さんがかけつけてくれるはずだ。
二人で頷きあうと、ゆっくりとドアを開いた。