%コード・イエロー%
「鈴木先生・・・」
私の口からこぼれた言葉を拾って、永井君が振り返った。
「え?それって、研修医の先生?」
普段外来にも病棟にもいない永井君は、ここに勤務する医者の顔をあまりよく知らない。
Q外の当直の医師は、専属の3人を除けばあとは交代制だ。
私だって、大勢いる医師、しかも研修医なんてころころ入れ替わるから、
普段なら覚えてないとこだけど。
彼には見覚えがあった。
外来に、自分のカルテを出してくれと言いに来た医者だ。
里佳子と二人で、つぶれそうだ、と予想した医師。
私たちが手助けするまでもなく、Q外の責任者である先生が、鈴木を取り押さえた。
がっくりとうなだれる鈴木は、何かわけのわからない言葉をぶつぶつと吐き続けている。
・・かわいそうに。真面目な先生だったんだ。
ここで働く人間がつぶれるパターンは、2種類だ。
体が壊れるか。
精神が壊れるか。