%コード・イエロー%
年齢は違うが、亮雅と鈴木は同じ研修医だ。
亮雅に聞いた話では、外国で医師免許をとっても、
日本では、もう一度国家試験を受けて合格しないといけないんだそうだ。
で、同じように、臨床研修もやるらしい。
なので、アメリカで医師免許をとっても、亮雅と鈴木は同じ年に国家試験に合格した同期ってことになるらしい。
リビングに腰掛けると、私は、かいつまんで今日の出来事を亮雅に説明した。
人を人とも思わぬ亮雅のことだ。
きっと鈴木の事をぼろくそにけなすに違いない、と思ってたのに。
「そうか。鈴木のやつ、そんなに悩んでたのか。
もう少し、相談に乗ってやればよかったな」
まるで、自分に落ち度があったかのように、亮雅は視線を落とした。
病院では、零れ落ちていった人間に対して、情けをかけることはしない。
ぎりぎりの人数で回しているせいもあって、どちらかというと、悪口を言うのが普通だ。
こんなことくらいでつぶれやがって、みたいな。
それなのに、こんな俺様医者の亮雅が、なんで鈴木を庇うのか。
私は、またしても顔に疑問を書いてしまったのだろう。
亮雅は、私を見ると、すぐに適切な回答をよこした。
「あいつさ、母子家庭なんだよ」