%コード・イエロー%
これからどうすればいいのだろう。
亮雅が病院の手先だとすれば、私がほしいカルテを入手することなど到底不可能だ。
重い体を引きずるようにして、いつもの仕事場へと足を運んだ。
本当は休んでしまいたかった。けれど、一人でいてもすることもない。
長年身についた習慣は、ちょっとやそっとじゃ変えられない。
私は、違和感なく受付に座って自嘲した。
仕事がなければ何もすることがないなんて、なんて寂しい人生なんだろう。
考え事をしていても、仕事に支障は出ない。
決まった台詞は考えなくても、まるで機械音のように口から吐き出されるし、
作り笑顔は、それこそなんの意識も必要ない。
里佳子だけが、私の様子がおかしいのに気づいていたけれど、
それ以外の誰も、私自身を心配するような発言をしなかった。
当然だ。
私は今まで、そうやってクールな職場関係を築いてきたのだから。
そんな風にして集中力を欠いていたので、私がそのことに気づいたのは、昼休みが終わった後だった。
「あれ?大森さんって、今日はお休みですか?」
訊いたとたん、看護師さんたちの間に気まずい空気が流れた。
・・ん?私、なんか、まずいこと言った?