%コード・イエロー%
・・熱?
そうか、熱が出たからこんな変な感じなんだ。
ぼんやりしている私を無視して、里佳子はさっと靴を脱ぐと私の腕をひっぱった。
「部屋はどこ?これは寝てなきゃだめだわ。薬は飲んだの?」
「薬?」
「ああ、もうっ!いいわ。ちょっと待ってて!」
私をベッドに押し込むと、里佳子は風のように去っていく。
それからしばらくして、コップに水を汲んできた。
右手には錠剤を持っている。
「ほらこれ飲んで」
私たちは、体調が悪いと職場で処方を出してもらう。
病院に勤めていると、仕事を休んで受診する手間がないというのが、大きな利点だ。
そして皆、処方された薬を使い切ることなく鞄やロッカーに入れてある。
風邪をひきやすい里佳子は、痰きりや気管支拡張系の薬。
生理通のひどい私は、痛み止めと胃薬が常備薬だ。
多分これは、里佳子が前回もらった薬の余りなのだろう、と思いながら言われた通りに口に含んだ。