%コード・イエロー%
「ヒョロのやつを問い詰めて、全部きいたよ。クビにされたんだって?」
私の額に冷たいタオルを置きながら、里佳子は神妙な顔つきで切り出した。
里佳子に詰め寄られて泣きそうになるヒョロの姿が思い浮かぶ。
里佳子の母は、病院のベテラン看護師であるため、
うちの会社の人間は彼女にはひどく気を使っている。
彼女自身は、そういう立場である事をひけらかしたりしないので、
その事を知らない人たちも多いけれど、実際、私と里佳子の給料に差がある事を私は知っていた。
「まったく!今までさんざん夏夜をこき使っておいて、簡単に使い捨てるなんて、本当に腹がたつったら!」
我がことのように怒る里佳子を見て、私は彼女に悟られないように口元を緩めた。
・・会社に告げ口したのは、やっぱり里佳子じゃなかったんだ。
良かった、と思った直後に、それが意味することにやはり落ち込む。
・・亮雅。
私は額の上に乗っけたタオルを、少し広げて目の上にかぶせた。
冷たくて、気持ちがいい。