%コード・イエロー%

電車を乗り継いで郊外まで来ると、小高い丘が見えてきた。

その丘は、全体が墓地となっていて遠くからでも霊園であることがわかる。

入り口には数件の花屋さんや石屋さんが並び、私はその中の一軒で花を購入した。


亮雅と来たときは車だったからすごく楽だったけれど、自分の足で登るとなると結構きつい。

花屋さんで借りたバケツと柄杓の中に花の束を突っ込んで、黙々と歩いた。


10分ほどたつと、全身がうっすらと汗をかき息が切れる。

運動不足かな、と感じ始めた頃、姉の墓石が見えてきた。


近くまで来て、一瞬、別の人のお墓なのかと思った。

同じようなお墓が並んでいるから、道を一つ間違えたのかと。


なぜなら、彼女の墓は草一本生えておらず、石もとても綺麗だったから。鳥の糞どころか、砂粒さえなく光っている。

そのうえ、真新しい花までがきちんと飾ってあって。



・・誰か来たの?



思わず墓石に掘られた文字を読んで、姉のものだと確認し、ようやく誰かが掃除してくれたのだと納得した。

と。


亡くなった日付を見てはっとした。



・・今日、春菜ちゃんの誕生日だ!







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