%コード・イエロー%
姉の誕生日、それは奇しくも彼女の月命日である事を指す。
亡くなったのは5月だが、日にちが誕生日と同じ日だったので、私もそれを覚えていた。
亡くなってから数年の間、私たちは家族そろって姉の誕生日に必ず墓参りをしていたが。
それも家族がばらばらになってからは、一緒に墓参りに来ることさえない。
年月の残酷さを改めて思い知らされる。
姉の死についてどうこう言っていた自分も、今日が誕生日だということをすっかり忘れていたのだ。
コンビニで買ったタオルで丁寧に墓石、土台、花立てと順番に拭いていく。
拭いたタオルを見て、私はつい今しがたこの場に誰かが立ち、私と同じ作業をしていた事を確信した。
真っ白な布が、まるで新品のように汚れないのだ。
玄関のドアだって、掃除して一日も立てば砂埃がつく。
それなのにこの墓石は、たった今拭き取られたばかりのように、ぴかぴかだった。
私は、自分が持ってきたピンク薔薇とかすみ草を、すでにある白い百合の隣のわずかな隙間に立てた。
柄杓で水をかけ、やはりコンビニで買ったチャッカマンでお線香に火をつけた。
お坊さんが見たら卒倒しそうな手順だが、あいにく蝋燭を買い忘れたので仕方ない。
3本のお線香から立ち上る煙を見ながら、手を合わせた。