%コード・イエロー%

『夏夜へ

春菜の墓参りありがとう。だが父さんは、今日は行ってないんだ。

きっとお友達でも来てくれたんだろう。週末にでも行ってくるよ』


父からのメールは、意外な言葉で結ばれていて。



・・うそ!? じゃあ、一体誰が?



友達だと、軽く返事が返ってきたけれど、それは絶対にありえない。

姉には当時たくさんの友達がいたけれど、学校の関係者がほとんど来てくれた葬式と違い、

墓参りをしてくれる人間はほとんどいなかった。

それはもちろん、私たちと係わり合いにならないほうがいいという大人の勝手な都合が大きな影響を与えていたのだろうけれど。


彼女の死から20年。すでに家庭を持つことが多い姉の友人が、今更墓参りをするなんて到底考えられない。

妹の私でさえ、姉の誕生日をすっかり忘れていたのだから。


花立ての中に清楚に咲いていた、白く美しい百合を思い出す。

印象的に、なんとなく自分よりも年上の人がおいてくれた気がした。

私も薔薇を持っていったけれど、最近はお墓にもカラフルな花を飾る人が多いから。



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