%コード・イエロー%
永井が会計をすませている間、私は化粧室へと向かった。
すごくおいしいからと薦められて、ワインを飲んだ私の顔はほんのり色づいている。
少し足元がふらついているのは、久々のアルコールに体が対処できないからだろう。
トイレから戻ると、永井は店の外に立っていた。携帯電話でしきりと話をしている。
「お待たせ!」
私の声に、永井の体がびくっと震えた。
「あれ?電話してたの?
あ!ひょっとして彼女らら?私と食事るること、許ひてもらってなひんでひょ」
なんとなく慌てたそぶりを見せる永井に、私は上機嫌で絡んだ。
なんだかうまく口が回らない。
そんなに飲んだかな、と考えるそばから強烈な眠気に襲われて、やっぱり飲みすぎたんだ、って思った。
やけ酒って早くまわるんだっけ?
「ごめん、藤崎さん。実は彼女が駅まで来てるって言うんだ。
家まで送って行ってあげたいんだけど」
「らいじょ~ぶよ。喧嘩しないようにね!じゃあ!」
私は永井におごってもらった礼を言うのも忘れて、別の方角へと歩き出した。
「気をつけてね!」
永井の声が背中から聞こえたけど、振り返るのも億劫で、私は貼りつきそうになる瞼を必死で持ち上げた。