%コード・イエロー%
がちゃがちゃという物音で、私の目が覚めた。
天井は、すでに見慣れたいつものマンションのものだ。
窓から射す光が、朝を迎えた事を知らせてくれる。
一瞬泥棒かと思って身構えるが、すぐに違うと分かった。
「あ、夏夜!やっと起きた。心配したんだよ、もうっ!」
「里佳子? なんでうちにいるの?」
里佳子が手にするトレーの上には、シリアルとヨーグルト、それに牛乳がのっている。
私が起きてベッドに座ると、里佳子はそれを机の上においてから、私の横に腰掛けた。
「ねぇ、夏夜。一体何があったの?」
里佳子の声はいつになく真剣で、表情も硬い。
「何がって何?」
里佳子がそんな顔を見せる理由が、私には思い当たらない。
一応、昨日の記憶を手繰り寄せてみるけど、特別何も。
何も?
・・昨日、どうやって家まで帰ってきたんだろう。
永井と別れてからの記憶が、さっぱりない。