%コード・イエロー%

「昨日、私に電話かけてきたの覚えてる?」


「電話?」


昨夜の事をじっと考えていると、釣り糸を手繰り寄せるみたいに少しずつ思い出してきた。

そうだ。里佳子に電話したあと、車から変な男たちが降りてきて。

ワインのコルクをあけるみたいに、一瞬で全ての記憶が鮮やかによみがえってはっとした。

心拍数がひどく上がっていくのが、自分でも良く分かる。

思わずパジャマの襟元を握り締めた。


「昨日、夏夜が私に電話したとき凄く変だったんだよ。

急に声が聞こえなくなったから、慌てて仲地先生に電話したの」


「え?亮雅に?」


「うん。だって、他に思い当たることなかったし。ひょっとしたら一緒かと思ってさ。

でも、違った」


里佳子の視線を感じたけど、私はなぜか顔を上げられなかった。


「別れたから関係ないって言われるかと思ったのに、自分が探すから、ここで待っててくれって頼まれたんだよ」


「えっ!」


驚いて顔を上げた拍子に、里佳子とばっちり目が合ってしまった。

里佳子は、私の驚きを肯定するように深く頷いた。



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