%コード・イエロー%
亮雅も里佳子も、それぞれがばらばらに一定のリズムで大胆に歩を進め、私を振り返ろうとしない。
それは、私を拒否しているようにも、拒否される事を恐れているようにも見えて。
「ねぇ、二人とも、もう少しゆっくり歩いて」
なんでもいい。今話しかけないと、このまま会えなくなるような気がした。
友人と恋人と。
二人を一度に失うなんて、絶対に耐え切れない。
立ち止まった里佳子とは対照的に、亮雅はさらに速度を進めて距離をとる。
「亮雅!」
私の声にゆっくり振り向くと、亮雅は綺麗な笑みを浮かべ、よく通る声で叫んだ。
「お前らで話があるだろ。俺は後でいい。また連絡する!」
「わかった!メールするね。今日はありがとう!!」
「おぅっ!」
晴れやかな顔をして、亮雅は手を振る。
・・良かった。まだ望みはある。
姉や両親に申し訳ない気持ちがなかったわけではない。
でも、私の気持ちは、もはやどう操作しても止まる事は不可能だった。