%コード・イエロー%
食事の最後に出てきたデザートは、桃のシャーベットだった。
ジューシーな肉を食べた後の口直しに、その甘ったるくない桃はぴったりで。
それが運ばれた頃には、少しずつ店内が活気付いてきた。
「最初はね、お母さんも夏夜のことには気づいてなかったみたい」
スプーンでシャーベットをつつきながら、里佳子が上目遣いに私を見る。
「けど、私と仲良くなって、夏夜がお姉さんを亡くしてることとか、離婚してることとか話してるうちに、多分気づいたんだよね。
父親の姓はなんて言うのか、なんて私に訊いてきてね。
なんか変だな、って思ってはいたんだ」
「そっか」
「ねぇ、夏夜。これからどうするつもりなの?」
「うん。姉のことに関しては、私の心の中での決着はついたから。
本当はね、姉がかわいそうってだけで真相を知りたかったわけじゃないの」
私はデザートを食べ終わると、水の入ったグラスを口にした。
辛味も甘味も消えて、口の中がすっきりとする。
自分が生まれ変わった様に、体が軽い。
「私ね、多分嫉妬をはらしたかったんだと思う」