%コード・イエロー%
一般外来の終わった午後に挨拶に行ったから、看護師は比較的暇なようで、
受付の後ろにある空きスペースで、私と沢渡はそれからも少し世間話をした。
空いているとはいえ、受付にいる里佳子は席を離れられずたんたんと仕事をこなしているようだ。
そういえば、と言って、沢渡は最後に意外な人物の名前を出した。
「あんたの会社に、永井って男いたじゃない?
よく救急外来に入ってた若い子」
沢渡からすれば、誰でも“若い子”になるのだろう。
それほど若くもないけど、なんて苦笑いをしていたが。
「あの子、うちの職員になったんだよ。
柿崎院長の下の娘と結婚するんだってさ」
「院長の娘と結婚・・・」
「なんか噂じゃあ、市議会議員の息子で、修行のためにあんたの会社に入ってたとかっていうんだけど、それ本当なの?」
全てが繋がった気がした。永井の後ろにいた人物。彼があんなことをした動機。
「沢渡さん!」
自分の問いが無視され勢いよく名前を呼ばれた沢渡は、体を大きくのけぞらせた。
「何よ」
「永井君の結婚式がいつか知りませんか?」