%コード・イエロー%

病院を出たとたん、ぶるっと身震いした。寒いと思ったら。



・・雪。



ちらちらと、マシュマロのような白い雪が天から舞い降りてくる。

掌をそっと上向けると、その中に落ちた雪はすぐに融けてなくなった。

掌を見てももはやその場所に一瞬でも雪があったなんて、想像もできなくて。


私はいつでも物事の一面しか見ていなかったんだな、と不意に思った。


大谷のつんけんした態度を見て、意地悪な女医だとばかり思い込んだり、

永井の優しい言葉を聞いて、素敵な男性だと勘違いしたり。


大谷だって、ここまで自分の地位を築き上げるには相当の努力をしてきたに違いない。

それがプライドとして表れていたって、全然不思議でもなんでもなくて。

永井にしてみれば、見下している私たちとは、心からの会話に努める必要なんてなくて、

いつだって相手がほしい言葉を、そのまま吐き出していただけなんだ。



・・亮雅もそうなの?



亮雅の見せた一面の裏に隠された、彼の本当の姿はどうだったんだろう。

人でなしに思えた彼の裏に、実は優しさがありはしないだろうか。


それとも、それも自分の都合のいい幻想なのか。



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