%コード・イエロー%
「ん~!あったまる~!」
こたつの上で鍋をつつきながら、私は最上級の幸せを噛み締めた。
「やっぱりキムチ鍋は最高だね」
一人暮らしというのは、どうしても独り言が増える。
一日中ビデオカメラを回したら、ものすごくあやしい人に見えそうだ。
“准看護学校入試問答集”と書かれた分厚い問題集を横目で眺めながら、
私は大口で白い米を胃に納めた。早食いは良くないってわかってはいるけど、時間が惜しい。
スープの最後の一滴をごくりと飲み干すと、よしっ!と気合を入れる。
後片付けは明日の朝と決め、鉛筆を挟んだページを開いた。
『やると決めたんなら頑張んなさいな』
大谷の言葉を何度も反芻しながら、私は目標のページにたどり着くまでひたすら問題集と格闘した。
満腹になると、どうして眠くなるんだろう。
ひっつきそうになる瞼を根性で持ち上げる。
亮雅を忘れるためじゃない。
いつかもしも彼に会えたときに、胸を張って会いたいから。
だから、今は、無心に頑張りたい。