%コード・イエロー%
でも、と言いながら、私は言葉を切った。
花嫁がこちらを振り向き、永井の肩の向こうで私と視線が絡んだ。
口角を上げて、きっちりと微笑むと、花嫁が軽く会釈を返す。
私の隣に並んでいる男性の集団も、私が永井の招待客の一人だと思っているのだろう。
警戒する様子もなく、さかんに拍手を送ってきた。
まぁ、これだけ盛大な結婚式じゃあ、招待客の顔なんて知りもしないだろうが。
口元には笑みを浮かべているが、永井の目は笑っていない。
私はもう一度永井に視線を戻すと、完璧に微笑んだ。
「でも--。
本当に幸せになれるかな。秘密を抱えて生きるってとても辛いことだよ」
「脅かす気か」
永井は、小さな、しかし鋭い声を飛ばす。
「いいえ、証拠は何もない。あの男たちだって自首なんかしないでしょうし。
私はただ、あなたに忠告をしてあげたかっただけ。元同僚として」
式場の人間が近づき、二人を誘導しながら歩き始めた。
「お幸せに」
去って行く彼らの背中に向けて、儀礼的に声をかけた。