%コード・イエロー%
3月。
卒業式。
袴を着てあでやかな姿を披露する同級生たちは、それぞれどびきりの笑顔で輝いている。
「卒業証書授与」
その言葉を聞いた瞬間、私の脳裏にはこの3年間の苦労が頭の中に思い描かれ、
感情が、自然に涙となってあふれ出してしまった。
まだ泣くタイミングには早かっただろうけど。
感極まって、内に溜まった高ぶりを抑えることができなかった。
勉強の辛さや、研究の辛さ、そして実習でのよくあるいじめ。
入学前には想像もつかなった体験を乗り越えた今の私の中では、
そのどれもが、輝かしい思い出だ。
「藤崎夏夜!」
「はい!」
他の同級生たちと違い、出席している保護者もいないけれど。
「おめでとう、よく頑張りましたね」
素敵な袴も、着てはいないけれど。
「ありがとうございます」
決して忘れることのできない、記念日だ。