%コード・イエロー%
どれくらいそうしていたのか、時間の経過をまるで感じなかったが。
「夏夜。俺はいいんだけど、お前、いいのか?
4月から、この学校の付属病院で働くんじゃないのか?」
甘い言葉の代わりに、微苦笑しながらそんなことをつぶやく亮雅。
・・え?
彼の言葉を心の中で反芻し、3度目にして気づいた。
・・しまった!ここ、学校だ!
私たちの横を、顔を真っ赤にした保護者の方々が見ない振りして通っていく。
慌てて顔をめぐらすと、少し離れたところで先生や事務員さんがこちらを見ていて。
どうしようと思う間もなく、さっき一緒に写真を撮ろうと言ってきた年下の友達が近づいてきた。
「藤崎さん。彼氏さんがいたんだ。だから合コンとか興味なかったんだね」
「え、いや、あのね。これは」
彼女は一瞬亮雅をちらりと見上げて私に耳打ちした。
『今度、彼氏のお友達紹介してね』
私が口を挟む暇もなく、それだけ言うと彼女は笑顔で手を降りながら去っていった。
「お幸せに!4月から、またよろしくね!」