%コード・イエロー%
私と亮雅の抱擁シーンを、いろいろな人に披露してしまうという、
今考えると恐ろしい失態を演じてしまったのだ。
・・あ~!恥ずかしい。
おかげで、病棟に配属された初日から、二人の事を根掘り葉掘り問いただされ、
全く知らない医師にまで、“あぁ、あのバカップル”で通じる有様。
穴があったら入りたいとは、まさにこんなときに使う言葉に違いない。
真冬のような冷たさはないが、それでも6時を回る頃になるとやはりまだ寒い。
私は片手でスプリングコートの襟元を押さえながら、ヒールの音を鳴らしていた。
冷やかしとも嫌味とも取れる先輩たちの言葉に明日からどう対応しようか悩んでいたせいか、
暗い道にあいた小さな穴に足をとられ、私は小さな子どものように転んでしまった。
・・いや~。ついてないよぅ。
片手をポケットに入れていたことが災いし、鼻の頭を地面にすってしまった。
半べそをかきながら起き上がると、私の鞄の中で携帯電話が生き物のように蠢いた。