%コード・イエロー%
なんなんだろう。二人だけで通じ合っているこの空気は。
昨夜の夕飯を煮込みハンバーグと決めていたにもかかわらず、
なぜか亮雅の大反対により、野菜炒めへとメニューの変更がされたと思ったら、
今日は今日で、恩人に会いに行くからなどと連れ出され、今に至るわけなのだが。
・・そりゃ、私にとって里佳子は大事な人だけど。
恩人とだけ聞かされ、それが誰だと尋ねても、行けばわかるとはぐらかされた。
「にしても良かった。ちゃんと卒業式間に合って」
「あぁ。ぎりぎりだったけどなんとかな。
まさか事故で新幹線が遅れるとは予想外だったからな。天気予報なんて当てにならないもんだ」
・・なんか私、会話についていけてない?
どうも私の卒業式に亮雅が会いに来た話をしているようなんだけど、
新幹線が遅れた話なんて、全然知らない。
私の頭にもやもやと浮かんだ違和感が、確実な疑問符として点滅し始める。
と、里佳子がにやにやしながら私を見上げた。
「門の前で乳繰り合ったんだって?やるじゃん、夏夜ってば」