%コード・イエロー%

ハンバーグから真っ白な湯気が、天井へと立ち上っては消えていく。

仲地の声にもハンバーグの音にも負けないくらい、お腹に力を込めた。


「海東先生は、だめなんかじゃない。

万が一、姉が亡くなったのが海東先生の手術ミスによるものだったとしても、

それを超えるだけのことを、海東先生はやってらっしゃるよ。

私は、そう思う」


亮雅の事を気遣ってではない。姉の事を忘れたわけでもない。

けれど海東は、私があの病院に勤め始めたときから、尊敬できると思えた医師だ。


「そうだね。私も、海東先生は素晴らしい先生だと思う。

過去を忘れてしまうのは簡単だし楽だけど、そうしないで、それをばねに患者さんのための医療を行ってるよね、海東先生は。

私たちも、そんな看護師をめざすんだよね。夏夜!」


「うん!もちろんだよ!

亮雅も患者さんの立場に立った医師になるんでしょ。お父さんみたいな」


私たち一人一人にできることは少なくても。

皆が同じように一つの方向を目指せば、きっと医療の質は向上する。


ありがとう、と亮雅の唇が動いた。

少しだけ顔が赤い。

照れてるの?とからかったら、ワインのせいだ、と返答された。


うそばっかり。車だからワインなんて飲んでないくせに。






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