%コード・イエロー%



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「お先に失礼します!」


「お疲れ~!」


それから瞬く間に時は流れ、今年もまた姉の命日が過ぎていった。


私はなんとか毎日の重労働に耐え、自分の無知さに嫌気がさしながらもなんとか日々精進しているつもりだ。


夜勤明けで眠い目をこすりながら、病院を出るとバスに乗り込む。

亮雅は日勤なので、今日は一緒に帰れない。


久々にバスに揺られると、大きな窓から白い雲が流れていくのがよくわかった。

ふと、この青空の中にもたくさんの星が見えているのだろうと思う。

夜じゃないからわからないだけで、本当ならあるはずのたくさんの星たちが。


目に見えるものだけがすべてじゃないのだと、見えない星たちが語りかけたような気がした。


駅に着くと、大勢の人の流れとは反対の方角に足を向ける。

夜勤明けの私は、通勤や通学の時間帯に帰宅する。


こんな風に、たまには人の流れに逆らって歩くことも悪くない。

悠々と座席に腰をおろすと、反対側の電車が押し合う人でもみくちゃになっている。


そう言えば、亮雅に初めて会ったのは、あんな電車の中でだった。



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