%コード・イエロー%

最近、久々に両親に会ってきた。

といっても、もちろん別々に、だ。


父には家庭があり、母は病院にいる。


亮雅の事を話すためだったのだが、てっきり烈火のごとく怒り出すかと思ったのに、

意外にも父は冷静だった。

驚いてはいたが、長い長い私の話を、最初から最後までただ黙って聞いてくれた。


受け入れてはもらえなかったけれど、頭から拒絶することもされなかった。

もはや父にとって、姉のことは思い出す気力もない過去の遺物なのかもしれない。


母のほうは、突発的に自傷行為に及ぶことがあるらしく、時々体を拘束されているのだそうだ。

危険だという理由で、看護師さんが同席しての面会が許可された。

私の話は理解できてないようで、わけのわからないことをつぶやいていた。


母は姉のために必死で火をおこし、そして燃料が尽きてしまったのだろう。

すっかり小さくなった彼女を見ると、自分の無力さを感じる。

彼女を少しでも理解したくて、精神科勤務を希望しようかと悩んだこともあったが、

残念ながら今の病院には、精神科がない。


修学金を返し終えたら、自分の歩む先の道について、ゆっくり考えるつもりだ。

もちろん、亮雅とのことを含めて。



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