%コード・イエロー%

ずっと、姉の死について何があったのかを知りたいと思っていた。

けれど、尖った石も転がるうちに丸くなっていくように、

私の心に刺さったとげも、年月とともにその先端はさび付いて鈍っていたのかもしれない。


それでも、何かに突き動かされるように何年も一人でやってきたけれど。


マンションに帰ってくると、リビングの机に朝食の支度がしてあった。

その隣には、なぐり書きのメモ。


“お疲れさん!

俺の特性カレーライスだ。ありがたく食え。今日は遅くなると思う”


多分急いでたんだろう。解読が必要なほどの文字の歪みに思わず苦笑しながら、

きちんとラップに包まれている食器をレンジで暖める。


晴れた春の日のように、私の心は穏やかで。


愛されるってことが、こんなにも強い力を発揮できる原動力になるなんて知らなかったことだ。

最強の武器であるとともに、それがガラスのようにもろいものであることも、

両親の背中を見て育った私は、充分にわかっていて。


だからこそ、努力を怠らず、感謝する心を忘れてはいけないと思う。

一日一日を決して無駄にしないように。


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