%コード・イエロー%
頬をぺしぺしと叩かれた感触がして、
私は、うっすらと目を開けた。
全身の毛穴を、針で抉られているような気がする。
「夏夜!しっかりしろ!」
私の名前を呼ぶ、この人は誰だろう?
心配そうに私を見つめるその目は、
確かに、いつか、どこかで見た覚えがある。
「仲地先生!
ストレッチャー持って来ました!」
あ、この声。
Q外(救急外来のこと)ナースの大橋さんだ。
里佳子のお母さん。
どうしてみんな、そんなに大騒ぎしてるんだろう。
患者さんが急変でもしたかな。
薄れゆく意識の中で、私は、つんとする、消毒薬の匂いをかいだ気がした。