%コード・イエロー%
「お疲れさん!」
最後の一人を診察し終えた医師が、眉を下げにこにこ顔で帰っていく。
・・あの笑顔。今日は、接待だな。
医者にこびる人間は多い。中でも、製薬会社の営業さんは、その最たるものだ。
大きな病院で採用されれば、営業成績があがるから、接待も半端ではない。
背の低い医師の背中が、うきうきと弾んで見えて、私は口をへの字に曲げた。
と、最後の患者が受付に来る。
「はぁ~。ちょっと、もっと診察、どうにかならないの?」
疲れきった患者さんの家族。
患者本人は、後ろの席で、ぐったりと座り込んでいる。
「申し訳ありません」
「あやまられたって、困るのよ!
3時間も待って、もう9時よ、9時!
予約時間は、6時だったのよ!!」
「申し訳ございません。今日は、かなり混んでおりまして」
「ほんと、いいかげんにしてちょうだい!!
具合が悪くなるために、病院に来てるみたいだわ!」