%コード・イエロー%

あまり長居をするわけにはいかない。

仮眠をとったふりをして、仕事に戻らなければならないのだから。


私は、震える体にきづかないふりをして、順番にカルテを探っていく。


と、


突然、入り口の方から、ガチャン、と扉の開く音が聞こえた。



・・ウソ!?



普段明かりのついていないはずのカルテ庫は、今、私がめいいっぱい明かりをつけてあって。



・・どうしよう。Q外で、カルテが必要になったんだ。



膝ががくがくと震え、力が入らない。

額を伝う汗が、肌にべっとりとはりついて、吐き気を誘う。



・・永井君なら。



私は、近づく足音が、永井君である事を祈った。

見つかれば、犯罪者だ。


けど、彼になら、なんとか口止めをお願いできるかもしれない。

倒れそうな体を、必死に棚で支え、私は息を潜めた。


< 89 / 481 >

この作品をシェア

pagetop