%コード・イエロー%
地下3階、地上15階の、白い巨大な建物は、
夜中でも、こうこうと明かりが輝く不夜城だ。
その中で、唯一灯りが灯っていない、地下2階への階段を、
私はゆっくりと一段一段、確認するように足を進めた。
扉の前にたどり着くと、IDカードをかざす。
ピーと、高い電子音が鳴り、ガチャリ、と鉄の扉が開かれた。
いくつもの棚が、床から天上までをぎっしりと覆い、さながら国会図書館のようだ。
古いカルテ(といっても、ほんの3年前のものなのだが)を保管するこの場所は、
まず、普段は、人の出入りがない。
どうしても、昔のカルテが必要になったり、患者が裁判を起こしたりしたときなどに、
係りの人間が取りに訪れるからだ。
その一番奥が、私と彼の、指定席。
今日は、
・・あ、私のほうが先に着いた。
そう思った瞬間、後ろから、長い腕に羽交い絞めにされた。